本校の校訓の一つに「温雅」(おんが)があります。
中学生にとっては、ちょっと難しいことばですが、パンフレットや生徒手帳などでは「あたたかい気持ちで、品位をたもつこと」と説明しています。
仕事柄、辞書で調べる機会が多いのですが、「品位」ということばも、なかなか説明しにくいことばです。
手もとにある辞書を調べると、「身だしなみや言葉つき、態度のりっぱさや姿の美しさなどから総合的にくみ取られる、育ちの良さや社会的ランクの高さ」とありました。
具体的でイメージしやすい反面、説明内容を読んでいてなんだかイヤな気分になり、別の辞書を見てみました。
すると、「見る人が自然に尊敬したくなるような気高さ、おごそかさ」と書いてありました。
この説明の方がしっくりくるなと思いつつも、「気高さ」、「おごそかさ」という抽象的なことばも、中学生には難しいなと感じてしまいます。
そこで、今度は「雅」を調べてみました。
すると、「洗練されていて上品なこと、風流なこと」と書いてありました。「温」の「あたたかい」イメージに「洗練されていて上品なこと、風流なこと」といったイメージを加えればよいのですが、説明としてはこの方がずっと良いなと思いつつ、そこにはやはり抽象的なことばが含まれています。
ことばの種類には「具体的なモノ」と「抽象的な概念」がありますが、とくに中学生には「抽象」を説明するのが難しいといつも感じます。
様々なことばを織り混ぜながら、できるだけわかりやすく説明する…。
抽象的なものを説明する際にも、具体例を入れながらイメージしやすくする…。
「教える内容」は一通りでも、「教え方」は何通りもある。その中からどんな教え方を取り入れるか…。教師という仕事が「一生勉強」であることを改めて痛感します。
一方で、生徒たちには、様々な場面で「温雅」ということばを意識してほしいと思っています。今の自分のことば(姿、気持ち、考え)は「温雅」にあてはまるかどうか、と。
その積み重ねを通して、将来的には「温雅」を兼ね備えた素敵な女性になってほしいというのが、私の願いです。